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時同じくしてアポロ・ジェット……
ではなく。
その隣のメイド喫茶。
「ん? 弥生、そこのギターって?」
「あぁ、アタシのだよ。弾いてみる?」
「いや、アンタが弾いてなよ」
ふと明里の目に入ったのは、カラフルなステッカーが目立つ黒いSGジュニア。
弥生のメインは相変わらずレスポール系だが……メロディー・メーカーも使い始めて以来、SGも気に入っている様だ。
本人曰く、「SGジュニアは音の立ち上がりもいいし、レスポと比べてチープな感じが好き」らしい。
弥生は店の奥にあるステージに立ち、SGとアンプのセッティングを始めた。
「真由~、アンプ借りるよ~」
「いいよ、100万ね」
店の裏側から聞こえた真由の声を軽く流しつつ、弥生はセッティングを続ける……。
小型とはいえ、マーシャルのアンプはよく歪む。
手慣れた手つきでアンプのツマミを調節し、さらにその上に載ったテープエコー、足元のフランジャーやリヴァーブもイジる。
ただSGを弾くだけだというのに、弥生はやたらと凝った音を作っていた……。
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