TRACK 16

2/5
前へ
/211ページ
次へ
「……耳が……」     あれから、どれ位時間が経ったのか……?     弥生の勢いは留まることを知らず、さながら牛追い祭の猛牛か、はたまた湾岸辺りを飛ぶように走るクルマの如く……。     マーシャルからの音は加速度的に炸裂し、コーヒーカップを揺らす。     「……何でもいいけど、誰かアイツを止めない?」   「そうですね……シャイニングウィザードでもかませば、大人しくなるでしょう……」     耐え兼ねない轟音に、明里と真由は耳を塞ぎながら相談する。     ……が、その横。   いろはは耳など塞がず、魅入られた様に弥生を見つめていた。     一瞬も眼を離さず、一つ一つの音を脳裏に叩き込んで……     「……あ」     弥生の右側から、真由が飛んできて……     左側には何故か、晶が慌てて駆け寄り……             ……ゴン!!         真由の飛び蹴りがクリーンヒット。         ……晶に。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加