感情 Emotion

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記憶は混濁し、なにも思い浮かばない。  「時間切れよ」 そんな声と共に扉が開け放たれる。 美しい黒髪、前髪は長すぎて表情は伺えない。 もっとも特徴的なのは、その身にまとうゴスロリ服ではないだろうか。 「俺を…、殺すのか…?」 突然の来訪者に驚くことなく、淡々とした口調で聞く。 「ええ」 来訪者…、少女もいたって淡々とした口調で返す。 「俺で… 終わりにしろ」 「どういう意味かしら?」 「俺を殺して…、事件を終わりにしろ」 「ふっ・・・」  少女は不敵な笑みをこぼす。 それは少年に希望、あるいは虞(おそれ)を与えた。  少年はそっと目を閉じる。 「刹那と永劫の境界はどこにある?」  少年は問いかける。 「ココに」  少女は答える。
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