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「用は済んだか?学校行くぞ。」
そういって俺は質問に答えることなく玄関に向かった。
「あ、待ってよぉ!」
真理菜もその後に続き、鞄を手に取り追い掛けてきた。
あーあ、また遅刻か。
絶対遅刻とわかった今、俺は急ぐ事をやめた。ゆっくり歩いている。
「急がないの?遅刻しちゃうよ?」
遅刻の原因が何を言っているのやら。俺は無視してゆっくり歩く。
すると、真理菜は俺の腕に抱きつき、俺の指を自分の指と絡めるように手を繋いできた。
「♪~♪~」
真理菜はニコニコして鼻歌を歌っていた。今日は先程の事からか、一段と上機嫌なようだ。
「機嫌良さそうだな。」
無愛想に聞いてみると、真理菜は俺にとびきりの笑顔を見せた。
「だって!朝からずぅっと優くんと一緒なんだもん♪私凄く嬉しいよ!それに……キスも……できたし。」
真理菜は顔を赤くしながら言った。
「これからは毎朝一緒だよ!?」
「……一緒はいいが縛るのはやめてほしい。」
「え~、どうしよっかな~?」
他愛のない会話(と言っても俺は適当に返事してるだけだが)をしながら俺達は学校に向かった。
今から始まる物語は、
歪んだ恋人の物語。
愛を否定する男の物語。
……普通とは異なる二人の物語。
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