第1章 序章~ヘリック共和国の帰還

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ZAC2108年11月。マウントアーサーを攻略した共和国全軍は、ガイロス帝国の支援物資を受け取った後にヘリックシティに進軍を開始した。共和国軍主力ゾイド隊3万を中心に、左翼に傭兵や反ゼネバスのゲリラレジスタンスからなる混成部隊1万を、右翼にはガイロス帝国からの増援部隊2万を布陣させて決戦に備え、別動隊として一個高速ゾイド大隊を前線後方に配置した。ZAC2109年春、両軍とも睨み合いをしながら体制を整える。年をまたぎ春になっていた。ネオゼネバス軍はヘリックシティ北部郊外に防衛線を張り徹底抗戦の姿勢を見せ、1万の高速ゾイド隊と大量のキメラゾイド群を中央に、その後方に重装甲ゾイド師団や火砲部隊、そして保有する30機のデスザウラー総てを配置するのと同時に司令部をヘリックシティ中央に構えた。さらに、ヘリックシティ全体を8機のアルティメットセイスモと3千機の皇帝親衛隊が固めたのである。 ネオゼネバスの布陣を見た共和国軍は、首都郊外に展開するゼネバス軍を本隊と別動隊によって二方向から打ち破ることを決定、準備を開始する。司令官の中から別動隊の数が少なく打撃力不足を指摘する者もいたが、ハーマンは自信あり気に納得させた。 ネオゼネバス軍の目と鼻の先で待機していた前線部隊はどよめく。ヘリックシティ攻略軍総司令官のロブ・ハーマン大将は、いつ砲弾が降ってきてもおかしくない状況であるにも関わらず、兵士たちの前で演説を行ったのだ。 「諸君!かつて、我がヘリック共和国はガイロス帝国と長きに渡って争い続けてきた!その結果、両国は多くの命を散らせた。我々共和国にとって、ガイロスは敵であった、それは事実だ!しかし、ネオゼネバスが共和国を陥れ、我々が祖国の地を離れる際、真っ先に救いの手を差し伸べてくれたのは他ならぬガイロスの友人達である!ヘリック共和国の勇敢な将兵達、今!ガイロスの友人達は我々と共に戦ってくれている!こんなに心強い援軍は他にない!そして、ここはヘリック共和国だ!! 何を恐れることがある!ここは我々の祖国の地だ! 我々はただ家に帰るだけだ! かつては今こそ、今度こそ、そう言って我々は何度も苦渋を味わってきた! しかし今日、この戦いを最後とし、オゼネバスを打ち破り、諸君等の手で再びヘリックシティに共和国の旗を掲げるのだ!」 ハーマンの演説にヘリック・ガイロス連合軍の士気は高揚し、誰もが勝利信じていた。
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