第一章『傘』

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家について びっしょびしょに なったまま家に帰ると お母さんに怒られた。 「ごめん… 傘忘れちゃって」 そりゃそうだ。 新品の制服をいきなり 汚しちゃったんだもん。 今考えると なんであの人に傘 渡しちゃったんだろ。 確かに かっこよかったけど…。 一目惚れって わけでもないし。 憧れ…が、強かった。 ほんとにかっこよかった… 髪型がバッチリ決まってて 制服をかっこよく 着こなしていて… 頭が真っ白になって 何も考えられないぐらい 心臓がドキドキしてて。 髪、濡れなかったかな 制服、濡れなかったかな 俺の傘 役にたってたらいいなぁ 同じ時間に 帰ってたし、 同い年だよな。 同い年に見えないぐらい 大人っぽくて スラッとしてたなぁ…。 今日のその人のことを 考えてると いつのまにか今日が 終わっていた。 また、会えたらいいな…。
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