第一章『傘』

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昨日の大雨が 嘘だったかのように 次の日は綺麗に晴れた。 「まぶし…」 日の光が目にしみた。 なんか今日は いいことありそう。 なんとなくそう思った。 そんな根拠のない期待に 胸を踊らせながら、 昨日お母さんが洗濯して 一生懸命アイロンで 乾かした制服を着て 学校に向かった。 今日はクラスの友達、 作れる気がする! 頑張ろう。 グッと 握りこぶしをつくって 校門を通って教室に入った。 「ねぇ、名前 なんていうのー?」 その日の俺の予感は 的中した。 話しかけられた クラスの男子と一緒にいたら いつのまにか周りには たくさんの男子がいて グループができていた。 俺のマニアックな 野球の話もウケて かなり盛り上がった。 携帯のアドレス帳も 何人ものクラスメイトで 埋まった。 ちょっと可愛い女子からも アドレス聞かれたりして…。 このクラスでよかった! 心からそう思った。 この時は。
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