第一章『傘』

2/30
前へ
/87ページ
次へ
「龍太郎!」 自分の名前を呼ばれて 無意識に身体が ビクッと反応した。 一時間目が終わって 十分休みになって 一息していたら、 俺の隣の席の薮くんが 話しかけてきた。 俺が この学校、クラスになって 一番に仲良くなった 薮くん。 人見知りの俺でも すぐに仲良くなれた。 一時間目の授業で もう眠くなっちゃって 小さなあくびをすると 薮くんに 「龍太郎と高木って 意外な組み合わせだよな」 突然そう言われた。 俺と高木は同じクラス。 いつでも一緒って わけじゃないけど、 基本的には 一緒に行動していた。 俺は黒髪で生意気で… 子供だから大人ぶる。 高木は茶髪で明るくて… 大人だけど子供っぽくて。 世間からみたら 対称的な二人。 だから一緒にいるのを 不思議に思われても 仕方がなかった。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

851人が本棚に入れています
本棚に追加