第一章『傘』

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中学一年生の入学式。 今でもよく覚えてる。 朝は晴れていたのに 入学式が始まったとたん どしゃ降りの大雨が降ってきた。 よかった、傘持ってきて。 入学式の中 そう考えていたら 「森本龍太郎」 俺の名前が呼ばれた。 「はっ、はい!」 しまった、 入学式の途中だった! 外を眺めていたら 急に名前を呼ばれたから ビックリして 慌てて席を立った。 やば、今は 集中しなきゃ。 次々と知らない奴の 名前が読み上げられて… 入学生、全員の 名前が呼ばれて 校長先生の話が始まった。 暇だったけど まわりに同じ小学校の奴も いなかったし 一人でじっとしていた。 暇だなぁ…。 早く入学式 終わらないかな、 なんてことしか 俺は考えていなかった。
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