第一章『傘』

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長い入学式が終わって 新しいクラスに戻る。 担任の先生から 自己紹介があったけど、 正直名前以外どうでもよかった。 相変わらずまわりに 同じ小学校の奴が いなくて、暇。 早く友達が欲しい。 でも俺、 案外人見知りだし… 結構生意気だし… 大丈夫かな。 「では明日も 遅刻しないで 学校にくるように!」 気付いたら 先生の話が終わっていて。 まだ誰にも話しかける 勇気ないし… 一人で帰ろう。 そう思って昇降口へと向かった。 昇降口に近づいて ドアから外が少し見えた。 外は本当に強い雨で…。 「うわ」 思わず声が出るぐらいだった。 せっかく新品の新しい制服。 雨の独特な匂い ついちゃうじゃんか。 傘立てに入っていた 自分の傘を取り出して 外に出て 開こうとした… その瞬間だった。
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