第一章『傘』

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「高木と龍太郎って 中学一緒だったっけ?」 「うん」 次の授業の教科書が 机に入れていた中になくて あーロッカーに しまってたっけ…なんて 思っていた時に こう薮くんに聞かれた。 「じゃあ中学で なんかあったんだな!」 あ、図星。 「なんで高木と龍太郎が 仲良くなったのか 気になる! 教えろよー!」 薮くんの無駄絡みが 面倒くさいっていうのは わかってたから ロッカーに教科書を 取りにいこうとした。 …いや、薮くんは 大切な友達だよ? そうしたら 「逃げんのか龍太郎!」 そう言われて 薮くんに抱きつかれた。 「うわっ、もう 薮くん危ないって!」 最近薮くんは スキンシップが 激しいってわかってたけど やっぱりちょっと 面倒くさい。 …だから、薮くんは 大切な友達だってば。 「別に…クラス一緒で 仲良くなった、みたいな」 早くロッカーに 教科書を取りにいきたくて 適当なこと言って 薮くんを追い払おうとしたら 「だって高木と龍太郎が 同じクラスになっても 系統違うし 喋らないと思うけど、俺」 また、図星。 「俺に、嘘は 通用しないぞ龍ちゃん!」 うわ、 薮くんこうなると もうしつこいからなぁ… 「じゃあこの話聞いても 俺のこと嫌いにならない?」 結構そんぐらい 深い話なんだからな、 なんて呟くと 任せとけ!って 薮くんのふにゃ笑顔を 見せられた。 あーあ、次の授業 教科書なしかぁ… いいや、薮くんに 見せてもらえば… そう思って 俺は、高木との昔話を始めた。
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