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狭い海底都市だけど平和な世界
おしとやかでおっとりとした人魚
その多くはこの生活に満足していたけれど、そんな中にも狭い都市に嫌気が差して、人間を憎む人魚が居た。
人間がどうゆうものだか知らないけれど、
遠い昔に姫を誘惑して、結果的に人魚たちをこの狭い都市に追い込んで、自分たちは好き勝手やってる。
御伽噺の人魚姫の悲劇を、彼女はそう理解した。
そう思うようになったのは、毎月この都市の様子見に来る魔女。
その、魔女の親友に見せてもらった南国の浅瀬の海の景色
最初は魔女が慰めに作り出した幻影だと思ってた。
彼女はとても活発で、幼女から少女と呼ばれる年齢になる頃には海底都市が窮屈になっていたので、退屈凌ぎに海底都市の歴史を調べた。
活発で有るが故、古文書を一角に閉じ込めた場所を見つけ、
そして少々の苦痛を伴いながら、
何故、広い海の中で狭い場所に閉じ込められたかの経緯を知った。
彼女はじっとしているのは苦手だが、可愛い悪戯を思い付くだけの悪知恵‥頭の回転は比較的速いほうなのだ。
魔女のほうも、早くから彼女のことを見極めていたのかもしれない。
だから、彼女に海底都市の外…海の上部を見せたのに違いない。
ただ
彼女はまだ若すぎて…
彼女の物語が始まるには時間と経験が要った。
時は緩やかに流れ
少女から女性として、彼女と同年代の少女が恋の話しに盛り上がるお年頃。
それをよそに、彼女は小さな子供たちを子分に付けて、なにやらヒソヒソと打ち合わせをしていた。
少女は無邪気な子供の笑顔で、頼んだわよ!と、大きな声で小さな子分を激励した。
蜘蛛の子を散らすように子供の人魚が一斉に泳ぎ出した。
肩までの短な金の髪を掻き揚げて、彼女は満足そうに貫禄の有る足ぶりで優雅にその場を離れた。
そして彼女の物語は動き出す。
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