15人が本棚に入れています
本棚に追加
「きゃ~久しぶり~!
これが占いの部屋なんだ~」
「あら、その声は-必殺暴れん坊スペシャルさん-ですわね。
あら~
まあ!まあまあまあ‥!!
貴女もとうとう恋愛相談を?貴女なら何人か纏めて押し倒してしまえばよりどりみどり。逆ハーレムも夢じゃないって思ってましたのに‥
ラッキーな殿方は、どこのどいつなのです?わたくし挨拶回りに一寸、首をキュッと〆て来ますわ?
わたくしの大切なお友達を(怯えて)粗末にしないように、よくよく首を絞めて‥「ストップ!待ってよ!
違う。違うの!」
開場した占いの部屋に一番乗りで入室した少女。
腰まで伸びた真っ赤な髪。
毛先は茹でたタコのように巻かれてクリンクリンとしている。
その鮮やかな髪に負けない深紅のドレス。
上は、豊満なバストをより魅力的に見せるビスチェで締め上げて、袖とスカートはふんわりとして、いかにもお姫様の様相で。
そんな魔女姫に抱き着いた少女は、魔女の唯一の親友だった。
女の子同士らしい、キャッキャと擬音が聞こえてきそうな姦(カシマ)しい挨拶。
少女は魔女姫が、魔女だとか盲目だとか関係なく普通に接する。
でも盲目だからなのか、ボディタッチが少々過激。
二人はハグしながらピョンピョンとその場で跳ねていた。
「あのね。
あたし相談に来たの。
だっていつも話を逸らすじゃないのさ!
個人的に会って相談に乗ってくれないなら、占いの部屋でちゃんとお願いすればイイかと思って‥
その前に、水鏡で上の世界を見せて」
魔女姫は少し困り顔で、水鏡に手を当てた。
すると、水鏡に張った水色より濃い水の色と、黒い肌のニンゲンがカヌーに乗って漁をしている風景が現れた。
真剣に覗き込む人魚の少女。
やがてポツリと呟いた。
「酷いわ‥
見て。
あんなに沢山の魚を串刺しにしてる。
魚たちは苦しかったでしょうね」
「そういう貴女だって、お魚を食べているじゃありませんか。
この人は、まだ、数日分のご自分の家族とお召し上がりになるだけしか、漁をしていませんのよ?
先進国という、ニンゲンが沢山住んでいる所など、もっと酷い惨状なのです
ですから‥」
「うん。
だからあたしがガツンと言ってやるのよ!
あんたらは陸で大人しくしてなさいって!!」
少女が力強く拳を握れば、魔女姫はそっと、溜め息を吐いた。
*
最初のコメントを投稿しよう!