彼女の始まり

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「きゃ~久しぶり~! これが占いの部屋なんだ~」 「あら、その声は-必殺暴れん坊スペシャルさん-ですわね。 あら~ まあ!まあまあまあ‥!! 貴女もとうとう恋愛相談を?貴女なら何人か纏めて押し倒してしまえばよりどりみどり。逆ハーレムも夢じゃないって思ってましたのに‥ ラッキーな殿方は、どこのどいつなのです?わたくし挨拶回りに一寸、首をキュッと〆て来ますわ? わたくしの大切なお友達を(怯えて)粗末にしないように、よくよく首を絞めて‥「ストップ!待ってよ! 違う。違うの!」 開場した占いの部屋に一番乗りで入室した少女。 腰まで伸びた真っ赤な髪。 毛先は茹でたタコのように巻かれてクリンクリンとしている。 その鮮やかな髪に負けない深紅のドレス。 上は、豊満なバストをより魅力的に見せるビスチェで締め上げて、袖とスカートはふんわりとして、いかにもお姫様の様相で。 そんな魔女姫に抱き着いた少女は、魔女の唯一の親友だった。 女の子同士らしい、キャッキャと擬音が聞こえてきそうな姦(カシマ)しい挨拶。 少女は魔女姫が、魔女だとか盲目だとか関係なく普通に接する。 でも盲目だからなのか、ボディタッチが少々過激。 二人はハグしながらピョンピョンとその場で跳ねていた。 「あのね。 あたし相談に来たの。 だっていつも話を逸らすじゃないのさ! 個人的に会って相談に乗ってくれないなら、占いの部屋でちゃんとお願いすればイイかと思って‥ その前に、水鏡で上の世界を見せて」 魔女姫は少し困り顔で、水鏡に手を当てた。 すると、水鏡に張った水色より濃い水の色と、黒い肌のニンゲンがカヌーに乗って漁をしている風景が現れた。 真剣に覗き込む人魚の少女。 やがてポツリと呟いた。 「酷いわ‥ 見て。 あんなに沢山の魚を串刺しにしてる。 魚たちは苦しかったでしょうね」 「そういう貴女だって、お魚を食べているじゃありませんか。 この人は、まだ、数日分のご自分の家族とお召し上がりになるだけしか、漁をしていませんのよ? 先進国という、ニンゲンが沢山住んでいる所など、もっと酷い惨状なのです ですから‥」 「うん。 だからあたしがガツンと言ってやるのよ! あんたらは陸で大人しくしてなさいって!!」 少女が力強く拳を握れば、魔女姫はそっと、溜め息を吐いた。 *
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