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水鏡の景色を見て、うっとりとする人魚の少女。
必殺暴れん坊スペシャルなんて変なあだ名が付いているけど、女の子だから綺麗な物が大好き。
薄ぼんやりとした照明器具。
近頃はニンゲンも海底探査するようになって、おちおち煌々と海底都市を明るく照らすことも出来ない。
海の裏側まで会話出来る優れた声の持ち主のクジラが、ニンゲンの出す電波をキャッチして危険を教えてくれるけど、
必要以上に怯える人魚は、自分たちの存在そのものを消すように、ひっそりと息を殺して海底都市に隠れていた。
そんな薄暗い世界には慣れているけど、やっぱり明るいほうが美しいものがより一層美しく見えるのが道理で。
水鏡の明るく美しい世界は、憧れるし行ってみたい。
「だからお願い!
あたしを上の世界に連れてって!
ついでにニンゲンの偉い人に物申してくるわ!」
盲目の魔女姫に自分の存在をアピールするように、魔女姫の手を取り顔を近づける。
ぽっ。
「まあ‥いやですわそんな…
わたくし、やはり殿方の方が。
貴女が殿方でしたら喜んで、お付き合いを‥「気持ち悪いこと言わないでよ!
ねえお願い!はぐらかさないで!」
気安い親友女の子同士。気付けばいつもこんなコントのようなものが始まる。
魔女姫がボケて、少女がツッコむ。
ノリがイイ少女をはぐらかせるために、魔女姫がワザと‥のパターンだが、今回は少女を誤魔化せなかったようだ。
「貴女は分かってらっしゃらないわ?
この都市での掟を覚えていて?
一度、この都市を出てしまったら、二度と受入れてはくれませんのよ?
お父様にもお母様にも、お兄様やお姉様。
お友達に貴女の子分さんも。
みんな
みんなに会えなくなるのですわ?
それも一生。
貴女はそのお覚悟が有って?」
「そ~んなの。大丈夫だって!
あたしがニンゲンに物申して、明るい海を自由に泳げれば、あたしは英雄よ?英雄!
凱旋のパレードだって夢じゃないわ!」
魔女姫は瞑ったままの瞳を、少女に向けた。
‥微妙にズレてはいるけれど。
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