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人魚の少女は家族や友達、それから子分たちの前に現れて
彼らをじっと見詰めた。
悪戯な彼女のこと、誰も気には留めなかった。
「今日でこの、必殺暴れん坊スペシャルの組は解散よ!
‥ごめんね。
あたし、やりたいことが出来たの。
みんな。大人になっても探究心は忘れないで?
海底都市は狭いけど、世界はとっても広いんだから!
いつか、みんなに見せてあげたいわ‥」
子分たちは悪戯だけど、純真な心の子供の集まり。
その、子分にだけ、お別れをした。
突然のことに理解出来ず、子供たちは泣いて喚いて散っていった。
少女はその場は泣きそうになったけど、果てない夢に向かって、海底都市の外に延びる-外通路五番-を泳ぎ出した。
その終着点は人魚の食材となる、深海魚の養殖場。
その外れまでが許された領域。
「おじさんが魔女姫のクジラタクシー?
魔女姫の屋敷までよろしくね」
陽気なクジラのおじさん。
彼の口の中が、客席になっている。
深海の水圧から上を目指すので、クジラタクシーはゆっくりと進む。
当然、乗車時間が長いので、室内の充実とサービスは満点!
ニンゲンの沈没船のプレイルームまで付いた、豪華なクジラタクシーで
気を紛らわせるように少女は遊びに夢中になった。
クジラのおじさんは、超音波の歌声の無線で仲間たちと情報交換。
ゆっくりと
ゆっくりと、クジラタクシーは魔女の砦に向かった。
少女の瞳は元気一杯!
希望に満ち溢れて輝いていた。
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