彼のアクション

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南の島の宿泊施設と云ったら、水上バンガローだろ。 なあんて。 少し期待していたこともなくはない。 だが、それが可能なのは常に手入れする人間が居る場合。 分かっていたさ。それ位。 ウッドデッキの白い海の家。 これはこれで南の島らしい。 その屋根にデカデカとしたソーラーパネルが付いてなけりゃ。だが。 人口一名の王国には鍵なんて必要ない。 その証拠に、玄関ドアはすんなりと開いた。 足を一歩進めて、太陽光発電が良好なのが分かった。 ファン付きの照明のファンが、ゆっくりと回り、それだけで涼しい空気が流れていたからだ。 カラッとした気候のここは、日陰に入るだけでも暑さを凌げる。 恐ろしくゆっくり回るファンだが、もう少しスピードを上げたら肌寒くなるだろう。 亡き父の言った通り、事前に手入れした様子で ファンのおかげか埃っぽくはなかった。 元から何日かの滞在を目的にしていたのだろう。 キッチンやバスルームがしっかりしていて安心した。 キッチンの火力は電気で、毎回補給にガスタンクを積む危険はなさそうだ。 問題は水。 あちこちにボトルが有るのを見ると、ここでは真水は手に入らないようだ。 旧型の大きな冷蔵庫が有り助かった。 中にはワインとパイナップルのラベルの黄色いジュースと、見たことのないビール瓶。 ビールを栓抜きで開け、そのまま口を付けながら、各部屋を覗いた。 結果から言うと、 直ぐにでも住める環境で軽く掃除をしただけで済み、キングサイズのベットで直ぐ様休むことが出来た。 時間はたっぷりと有るので、疲れに身を任せて昼寝することにした。 *
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