彼のアクション

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カランコロンと、カウベルに似たドアのベル。 そいつを開けると、ココナッツの香りが迎えてくれた。 陳列棚が4列の小売店。 奥行きは、まあ有るので品揃えは満足出来そうだ。 キャッシャーの上に散らばる白い花。 店員が花冠でも拵えているらしい。 本島からのラジオ放送が、南国のダンスミュージックを流して雰囲気は良さ気だ。 「イラッシャ…イ‥ うはっ! ち‥ちょっとオニーサン! 観光客?じゃ、ないわよね!どーしてここに? うわー素敵!タイプ!カノジョ居る? 私フリーよ! 何が欲しいの?何処に住んでるの?んー‥ここじゃ無いわよね。分かった!隣島? 長く居るの?永住する気?よく居るのよね~ここに来て帰りたくなくなる人!オニーサンもその口? 現地語ってね。その土地に恋人作ると覚えが早いんだって!どう?私!私が教えてあげるわ?」 キャッシャーに居た店員が、来客に気付き身を乗り出した。 俺と目が合った店員の娘。 恐ろしくプロポーションがイイ娘だと思っていたら、突進されて腕を取られしがみ付いてきた。 胸が当たってたじろいでいると、嗜む程度の俺のフランス語力では聞き取れない程のマシンガントーク。 その態度と聞き取れる部分で、どうやら懐かれたんだと判った。    クラリと眩暈がした 人から避けられるのは辛いが こう大歓迎されるのもキツい‥ 「あ~え~っと‥ 二週間分位の食料が欲しいんだが‥ パンを自分で焼くのと、コーンスープ。 その材料の粉類を大袋で。 卵と肉。肉は日持ちしそうなのと、ミルク。 それから‥アナナ聞いてる?」 べったりと俺にくっ付く彼女。 彼女がヒオナの言ってたアナナという看板娘だろう。 小麦色の肌に黒い瞳と長い髪。 ニコニコと陽気に笑う姿は、正にパイナップル娘だ。 「うわお! 何で私の名前知ってるの? あーヒオナね! オニーサン。ヒオナのタイプそうだもん。 あんなオカマより私のほうがイイでしょ? もーそんな顔しないで! 分かってるわよお客さん。 お買い物がしたいんでしょ? でも卵とお肉は置いてないの。 貴方じゃあのお店の人は売ってくれないわ‥ そうだわ!私が買ってきてあげる!だから付き合って? あーウソよウソ!付き合わなくてもイイから買って来てあげる。 オニーサンは商品選んでてネ!」 言うだけ言って駆け出した彼女。 なんて積極的な娘だろう。 *
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