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彼はいわゆる落ちこぼれなのだ。
出来ない者に人は近寄らないもの。
ジョウシュは17になるが、昇格試験は毎度のこと落ちている。
最低ランク、Eランクのままなのだ。
この世界の人間は全てランク付けされている。
ランクのせいで上者は下者を見下し、下者は上者を妬み、力が故(ゆえ)に従う。
そして上下関係が生まれた。
学園でEランクはジョウシュただ一人。
周りの者は彼を蔑(さけず)み、嘲笑(ちょうしょう)する。
教師までも、がだ。
ソーマ・セレンテは貴族という位にいるが故もあろうが、その一人だった。
「ま、何にせよ、そろそろ本当に諦めることを知ったほうがいいよ、君は。
魔力が無い者に、魔術は使えない。いい加減わかれよ。」
ソーマはジョウシュの耳元でそう言い放った。
言い返すことは出来ない。
彼の言うことはあくまで正論だ。
ジョウシュは拳を握るしかなかった。
屈辱を耐えるしかないのだ。
「それでは、無意味だと思うが、これからも頑張ってくれたまえ、スエード君。」
そう言い、高らかに笑うと、ソーマは二人の取り巻きを連れてジョウシュの元を去って行った。
ソーマ達の姿が見えなくなった後、ジョウシュは大きくため息をついた。
からかわれるのは毎度の事だが、やはり疲れる。
ジョウシュは気を取り直して、次の教室へと歩みを進めた。
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