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「おねぇーちゃーん。スキって何ぃー」
「扇風機越しにそういうの聞かないで。暑苦しくなるから」
眼鏡をかけた姉が、
涼しい顔をしてそう言い、
肩までしかない短い黒髪を耳にかけた。
私は膨れっ面を扇風機にさらし、
頭の上で造ったお団子を外して
茶色におびた髪の毛を下ろす。
「だって、分からないんだもん」
「まだ前の彼氏引きずってんの?」
「べっつにぃー。だってアイツ」
私がフッたもん。
そう言う前に畳に寝転んで、
天井を瞬きもせずに見つめた。
あー…熱い。
溶けちゃいそうなぐらい熱い。
おばあちゃん家はエアコンが無いから、
本当に熱中症になってしまいそうだ。
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