第一章 出会い

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政友は現代に来てから小田原城へ行っていない。 つまり夏頃噂されていた小田原城の人影は全く違う人物のことになる。 だとすると、同時期に全国に出回った謎の人影の噂は全て真実である可能性がある。 橋本はすぐにこの大きな事態について考えることをやめた。 現代に現れた人物たちが皆目の前の武士のような人間であることを願う他ない。 「一つ説明しなければいけないことがあります」 説明しなければいけないこととは、勿論この時代についてである。 鎧武者が活躍した時代のように争いもなければ刀を持ち歩くことさえ許されない。 幸い政友は刀を持っていはいないようではあるが。 橋本は政友が刀を持っていないことに疑問を感じながらも深く触れないことにせず、本題について触れた。 「ここは政友さんたちがいた時代ではありません」 政友が先程よりも深く、再び顔をしかめる。
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