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二人が向かった先は、氏康の居城、小田原城から北西の方角にある大きな広場である。
その広場の入口付近にある立て札には、城山陸上競技場などといったことが記されていた。
秀信がここを訪れるのは初めてであったが、ここに来てからの氏康の動きを見ると彼は何度か訪れたようである。
「見よ」
氏康が右手を持ち上げ、人差し指を前に伸ばす。
秀信がその先へ目をやると、広場の暗闇で何かが揺れた。
それにつられて周囲の闇もひとつ、ふたつと揺れていく。
その正体が北条の兵であること、その数が広場を埋め尽くす程だということに気づくのにそれ程時間は掛からなかった。
ゆっくりと兵の群れへ歩み寄る氏康に、足早に近づいてくる男がいた。
北条家宿老、松田憲秀である。
彼は既に鎧を着込んでいた。
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