第二章 獅子の目覚め

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小田原高等学校城を占拠していた松田康長は、幽霊でも見たかのように動揺していた。 いや、彼にはそれが霊的なもの以外には見えなかったのである。 「あれはなんだ!!」 康長の怒鳴り声を聞いた兵が狼狽える。 しかし誰が口を開くわけでもなく、皆康長のように怯えていた。 康長と数人の兵の眼が映していたのは、地上の門付近に4つほど灯された明かりである。 その明かりは篝火という程燃え盛っておらず、そもそも火よりも紅い。 まさに地獄の炎、もしくは人魂のようであった。 更には時間が経つにつれ、その炎は甲高い音と共に次から次へと増えていく。 その光景が、この場所の奇怪さと相まってより一層恐ろしく感じられる。 既に氏康への伝令は放っているが、本隊の到着まで自分の精神が持つのかどうかすらわからない。 康長は平常を保とうと、目を窓から室内へ向けた。 この城について分析をしようと考えたのである。
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