第三章 小田原駅の戦い

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当初の予定は音を立てずに小田原駅城を奪い、そこを拠点として着実に勢力を広めていくというだけだったのだが、松田康郷らの活躍によって警察の一人を捕らえた事で計画は一変した。 氏康は門倉をあえて解放し、遠山綱景にその後をつけさせた。 やがて門倉がたどり着いた城に急襲し、あっという間に綱景は城を占拠することに成功したのである。 しかし氏康は急襲までに時間を置かせていた。 その間に門倉が北条軍についての報告を城主にすると踏んでいたのである。 北条軍の情報を得た敵は、当然その兵力に見合う軍を小田原駅城に出陣させてくると予想し、氏康は大藤秀信を介し清水康英へ奇襲の命令を与えた。 奇襲は成功し、敵軍は完膚なきまでに叩き潰されたが、康英は内数人を逃す。 これは、逃れた敵兵を北条の強さを世間に広める駒として使う為である。 敵を騙すには味方からという言葉の通り、氏康もほとんどの家臣にこのことを黙秘していた。
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