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その頃町ではいつものように賑わいを見せていた。
ある奥町の一角にその時代で言うおかっぴきと言う現代での警察官のような人達がいた。
其処の大将である父親の一人息子、竜は大将の手伝いと周りの者の管理を果たしている。
「そこの者!しっかりやらないか!!」
こう見えても竜はまだ7歳、だが父親に似て根が強く周りには勿論自分にも手厳しいと言った小さいながらにいっちょ前な堅物だった。
「ほらそこ!お前はそれが終わった其処に積んである物全てを今日中に片付けるんだぞ!!」
竜に言われ畏まったと思えばようやくテキパキとした仕事場に戻った。
一通り周りの見回りが終わると竜は大将の横へ戻るなり言った。
「父様、俺はそろそろ行かねばならない所がある故…」
そう言った具合に、大将は行ってこいと告げ仕事場を後にした。
丁度その頃…
『待てーい!待て待てーい!!』
「どいでどいで!!」
町では男と少女の追い掛けっこ…ではなく、少女が落とした縦笛を男が金目の物だと拾い落とした事に気付いた少女は男に体当たりをし縦笛を取り返した後の事
金に困っていた男は横取りされたと勘違い、少女を追いまた縦笛を追い求めていた。
「…成る程」
人は変わり、町の異変に気付いた竜は路地に隠れ足跡を覗くように追う。
そうして、暫く耳を澄ますと‥
「はぁ…はぁ…」
息切れの吐息の音が手に取るように近くで聞こえる。
タイミングで素早く行動に出た竜は息切れの吐息の主を手を伸ばして路地へと連れ込んだ。
「きゃっ!?」
「シッ…!」
少し大きめに声を出した少女を瞬間的にジッと見詰めて静かにと伝えた。
『……チッ!見失った!!』
すぐ近くまで来た男だったが諦めてゆっくりとその場を後にした。
「…諦めたか、君、怪我は?」
「ぁ…いえ」
突然の事に驚き目をパチパチとさせる少女、竜は少し困った。
「驚かせたか…すまぬ」
「ぁ、そのぉ…ありがとう御座いました!」
元気いっぱいにそう言われた竜は少し照れ笑いをして礼などいらんっと言い放った、そうは言う竜だか内心とてもおかっぴきであると言う実感が沸きとても嬉しかったようだった。
「その笛、もう落とすなよ」
「はいっ!あのぉ…貴方お名前は?」
「俺は照井竜、奥町の一角にあるおかっぴきの集まりで其処の大将‥いや、父様の息子だ」
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