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「1週間ほどペルラの遊び相手としてアルバイトして下さる?滞在して」
ほんとに?
管理階級の人んち……親もダメとは言わない。
「いいですよ」
「かくれんぼするよぉ!」
ペルラはサンシェードハウスへ直進。
ばればれ。
さすが4歳。
翌日から1週間のアルバイト(微妙な下心とバカンス気分付き)が始まった。
ペルラにも随分気に入られた。
俺がイーリスと話していると必ず割って入り、膝に座る。
可愛いヤキモチ焼きだ。
「マードレとあたしとどっちがかわいい?」
「ペルラは、マードレに似て可愛いよ」
「じゃ、かわいいっていって!」
「はいはい。可愛いペルラ」
「おれの!も」
「お……俺の、可愛いペルラ」
はずいぞ。
おマセめ。
そんな会話をイーリスはにこやかに見ている。
幸せそうに。
人の横顔を見て美しいなんて、初めて思った。
なのに
時々、すごく寂しそうだ。
やっぱり、旦那が来ないって寂しいのか?
急に、イラついた気分。
なんかおかしいな。
俺。
気付くと、イーリスを目で追ってる。
凛のこと、考えることがなくなって。
イーリスは俺の視線に気づくとふっと柔らかな笑みをくれる。
どきっとするんだ。
ペルラと遊んで、三人で食事していると、こんな日々をずっと過ごしてきたような、錯覚を覚える。
もしかしたら、その肌に触れても拒まれないんじゃないかって、勘違いしそうになる。
お腹がくちくなったペルラは、眠ってしまった。
俺の午後は少し暇になった。
特にやることもなく、あてがわれた部屋のベッドに寝転がっていると、うとうとしてくる。
2時。
まだまだ夏の日は長い。
そうだ。
買い出しに行って、夜に、花火をしてもいいな。
ほら、瞼が、もうくっつきそうだ。
一人、眠気と戦う孤独な遊びを静かに繰り広げる。
のどかで平和なひと時。
ずっと続けばいい。
ずっと、ここでペルラとイーリスと……。
ほら。ずっと……。
気持ちいいなぁ。
ああ。
もっと眠れそう。
甘い香り。
だあれ?
薄く眼を開けるとベッドに腰掛けたイーリスが
俺の頭を、耳元を首筋を撫でている。
優しく、何度も。
安らかな気分だ。
小さな子供に戻ったみたいに。
夢?
「う?」
4時?うわ。
マジで寝てた。
なんか、あの辺りが……ど?
ああ、もう!なんちゅー反応。
とりあえず、シャワーだ。
もやもやは吐き出してすっきりだ。
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