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俺が間違っているのだろうか。
いや、そんなはずはない。いくら記憶をたどってもこんな奴、覚えていない。
俺は横目で当然のように隣に座る少年を見た。
彼の名は神田というらしい。名札にそう書いてあった。クラスのみんなも彼をそう呼ぶ。
彼の存在が当たり前のように挨拶を交わし、肩を組む。
俺が、間違っているのだろうか。俺が、おかしいのだろうか。
俺は眉をひそめた。神田を睨むように見つめるが、結果は変わらない。
だめだ。
俺は、こいつを知らない。聞いたことがない。
見たことがない。
一方、神田は俺を知っていた。
顔を合わせると馴々しく笑顔を見せる。
だから余計に胸くそ悪い。俺は知らずに、彼は知っている。
俺は、お前を知らない。
別に俺が学校を長期に渡って休んだとか、そんなことはない。
毎日登校して、そして、今日、誰もいなかったはずの隣に、神田が座っていた。
『転校生だろうか』
友人に尋ねるが、彼は笑う。
『何言ってんだお前。神田じゃねえか。ぼけたか』
ぼけた覚えはない。
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