火照り

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「慣れてないならそんな高いヒールは履くな 最初は低いやつからにしろ」 「はっはい」 軽いお説教的なことをされてしまった……。 私はふと手にある定期に目がいった。 「あっあのっ、定期ありがとうございました」 「……今日は街にどんな用事があったんだ?」 「へ?」 あまりにも唐突な問いに首を傾げた。 「買い物かと思ったが買った風はないし、と思ってな」 「あ……街の物見て回ってただけなんです 暇潰しに お金ないんで買えないんですよ」 アハハと苦笑すれば、沙羅乃は私をジッと見たあと、口を開いた。 「お前好きな色は?」 「ふぇ?」 またしても唐突な問いに変な声が出てしまった。 「色……ですか?」 「あぁ」 「えっと……オレンジ、ですかね」 オレンジは派手すぎず、地味過ぎず、優しい色で私は好きだった。 「俺は黒だ」 聞いてないけど答えてくれた。
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