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でも……すごくそのまんま。
さすが“黒狼”。
なんて心の中で思った。
「帰るんだろ?」
「え?あっはい
定期届けてくださいましたから、電車で帰れます」
「は?
電車じゃなかったら何で帰るつもりだったんだ?」
「……歩いて」
「……定期のはここから結構離れた駅だったが、それでも定期見つからなかったら歩いて帰るつもりだったのか?」
「はい……」
そう答えると沙羅乃はプッと笑い出した。
無邪気な笑みに私は見とれた。
だが、腹を抱えて笑っているのは私のネタでだ。
「わっ笑いすぎです!」
「いっいや……悪い……」
謝りつつも喉の奥で笑う沙羅乃。
いつも鋭い顔ばかりしてるから、こんな顔もするんだなって思った。
「詫びに家まで送ってやる」
「へ!?」
わっ私の家まで!?
「安心しろ
部屋まで押し入ろうとしたりするクソヤローじゃねぇから」
そんな奴じゃないのは知っていた。
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