全ての始まり

3/3
前へ
/128ページ
次へ
さすがに蹴り返されるか、殴られるかを思い、警戒した。 「テメー!クソ女!! 総長に何して「黙れ」 『吸血鬼』の一人の罵倒を止めたのは他でもない『吸血鬼』の総長、“黒狼”だった。 「この程度何でもねぇよ」 “黒狼”がこっちを向いた。 「夜由」 ドキンッ!―― 名前を呼ばれ心臓が激しく跳ねた。 何で私の名前知ってるの? そんな疑問や火照るような熱のせいで思考が麻痺してしまった。 “黒狼”は何事もなかったかのように言葉を続ける。 「俺はお前を傷つけねぇよ」 “黒狼”はそれだけ言って去って行った。 飛び跳ねる心臓と、顔に集まった熱は中々引いてはくれなかった。 この日、私は初めて“黒狼”――沙羅乃 朝緋と出会った。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

513人が本棚に入れています
本棚に追加