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さすがに蹴り返されるか、殴られるかを思い、警戒した。
「テメー!クソ女!!
総長に何して「黙れ」
『吸血鬼』の一人の罵倒を止めたのは他でもない『吸血鬼』の総長、“黒狼”だった。
「この程度何でもねぇよ」
“黒狼”がこっちを向いた。
「夜由」
ドキンッ!――
名前を呼ばれ心臓が激しく跳ねた。
何で私の名前知ってるの?
そんな疑問や火照るような熱のせいで思考が麻痺してしまった。
“黒狼”は何事もなかったかのように言葉を続ける。
「俺はお前を傷つけねぇよ」
“黒狼”はそれだけ言って去って行った。
飛び跳ねる心臓と、顔に集まった熱は中々引いてはくれなかった。
この日、私は初めて“黒狼”――沙羅乃 朝緋と出会った。
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