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「はっ、そうでした。ええと、奥の倉庫とか色々と教えるのはダメですね。今、僕たち2人しかいないんで。とりあえず、ここで一緒に客を相手するだけということで」
ヒューイが満足そうに頷いている横で、俺はあくびをする。なんだかすごく暇そうな気がする。一応カウンターの向こう側に立ってみるが、見える風景が違うくらいだ。
「それで、先輩、客がレジまで持ってこなきゃ暇なままですか」
「まあ、そうですね。たしかに暇ですね。だったら少しお話でもしましょうか?」
「今日の空は青かったなー」
「ちょっと絶対に話す気とかないでしょ。空とか、どうでもいい人に聞くこと、話題に困ってきくこと、上位に食い込むもんですよ」
「じゃあ、ヒューイが決めればいい」
俺はぞんざいにいい放った。いちいち気の合う話題を探すのも骨が折れる。
「いいですよ。アルトさんはオリアさんとルノさん、どっちが好きなんですか」
「死にたいのか。3分割にしてやってもいいんだぞ」
「ひいいい!! 勘弁してください。恋愛系は好きじゃないんですね。わかりました、えっっとアルトさんはいくつなんでしょうか」
「22」
「なんですと、僕より若いじゃないか。それなのに僕はさんづけを、これからはアルト……さんでいいですよね。だからそんなに睨まないでください。殺さないでください」
ヒューイが俺に何度も頭をさげてくるが、俺の殺気は別の者に向けられていた。わざわざこん棒やら、短刀を持参して、俺に笑いかけている集団がいた。客とみるにはかなり無理がありそうだ。
「さて、こういう場合はどうすればいいのかね。ヒューイ先輩」
隣でただならぬ雰囲気を察知したヒューイは生唾を飲み込んでいる。
「勤続十年の僕を舐めないでくださいよ。幾多の修羅場をかいくぐった僕の力を見せてあげますよ」
全員、幽冥界人であったが、体の筋肉が発達していて、血管がはっきりと見える。ここに来る前に準備体操でもしてきたのか。ご苦労なことだ。
知能が思いっきり足らないのか、口をだらんと開けている人物が、近づいてきた。
「えーとあんたアルトカラサエだよな」
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