第一部 序章

11/11
前へ
/191ページ
次へ
人差し指にはめた指輪を眺める。 料理用に作ったのとは別の焚き火の光でゆらゆらと光っていた。 …あっ。 「ミュー食べちゃダメ!」 慌ててミューを鍋から引き剥がし、食料を確保する。 熱い。 「ミュー、火傷してない? 鍋触ったでしょ?」 しかしミューは火傷なんてしていなかった。 ドラゴンの鱗のお陰なのだろう。 子どもだからか、鱗は小さくて柔らかくさわり心地がいい。 大きくなって鱗が硬くなったら触ると怪我をしてしまうかもな、なんて考えてみるけどまだ何となく想像が出来ない。 キラキラと光る鱗は本当に綺麗だ。 せめて立派に成長出来るまでは守らなくちゃ。 そう決意しながら肉を口に運んだ。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

262人が本棚に入れています
本棚に追加