14/45
前へ
/75ページ
次へ
彼女の表情に変化はない。本当にそう思っているのかは判らないが、嘘をついているとも彼には思えなかった。 「他のモブも?」 「それも言ったわ。あなたみたいな異分子(イレギュラー)はいるかもしれないけれど、大部分の人達はきっと私と同じだと思うわ」 彼自身もそれは充分に理解していた。そもそも主人公になりたいと願ったときから、自分は異端な存在であると、他のモブ達とは違うモノであると。 けれどそれでも、やはりどこか寂しさを感じてしまうのは何故だろうか。唯一無二の自己同一性、『主人公』を求めていながら他者と違うことに戸惑いを感じるのは、彼が自我を持つからなのか。 「それで、具体的にはどうするつもり?」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加