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トウカゲは獲物を狙うような眼で、雇われ組を見回した。そこまでの話に満足したのか、アルゼラがうんうんと肯いて勢いよく席を立つ。 「それではトウカゲ、サイサ、雑務クン共!準備のために一度拠点に戻りますよ!」 トウカゲとアルゼラ、その二人にサイサと呼ばれた巨漢が続く。それに釣られるように他の雇われ組もぞろぞろと。その列に加わりながら、何の気なしに彼は尋ねた。 「準備ってなんですか?」 その瞬間。 「むむ、雑務クンF、さっきから質問質問生意気ですね、なぶり殺しにしますよ?」 どろっとした殺意が彼を包む。一瞬で背筋が凍りついて、頬を冷や汗が伝う。少しでも口を開いたら、即座に鉄球が飛んできそうな、そんな威圧感。さすが主人公に対峙する者達、ここで死ぬのかと彼が本気で諦めかけた時、不意にその殺意が消え去った。
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