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重ねて言うが彼には武器の扱いに関しての心得がない。それは自分でもよく解っている。そんな彼が一丁前に武器を携えてみたところで、邪魔にしかならないのは明白である。 ならばと、彼はナイフと、精々肘先程度の長さの小剣だけを腰のベルトに下げると、道具箱の方へと目を向ける。オーソドックスな爆弾と閃光弾、それから煙幕があった。全て導火線式だ。 彼はそれぞれを六つ程度手にとって、それからナイフを取り出し、導火線の長さを調節していく。正確な起爆までの時間は分からないが、それでも長い短いくらいの区別はしておける。そうすれば、対応できる状況が増えるというものだ。 調整した爆弾を、箱の近くにあった小袋に分別して入れ、それも小剣と一緒に腰に下げた。 「ちょっとこっちに来るのです!」 船外からアルゼラの声がする。彼はその声に従って外に出た。
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