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これで準備はあらかた終了。彼は解体用の機械の上に腰をかけた。 「今更悩んでいても仕方ない」 既に外には夜の暗闇が迫ってきている。彼と主人公の、二度目の邂逅も近い。 「それじゃあ行きますか」 欠け月が天の頂に登る頃、ようやく作戦のリーダーであるアルゼラが口を開いた。アルゼラが立ち上がるのにあわせて、じゃらり、と鎖の音がする。それに倣うように周りの男達も立ち上がった。 「てめえらは俺の後に付いてくるんだ」 トウカゲがくい、と顎を動かす。 廃船解体場から出た彼らを、静寂が包み込む。わずかに波の音だけが、遠くの方から聞こえるのみだ。緊張なのか、彼の足が震えている 「ここから市街地はそお遠くねえ。早いうちに、覚悟は決めておくんだな」 目敏く雑務クンFの足の震えを捉えたトウカゲは、小さな声で彼に耳打ちした。
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