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それから少しして、トウカゲがアルゼラに向けて配置完了の合図を送る。 「それでは、作戦開始なのです」 アルゼラは玄関前まで移動すると、こんこんと小さな手でドアを叩いた。中から足音がして、一人の男が出てくる。彼はその男に目を向けた。炎色の髪、間違い無く主人公だ。 「こんな夜中に何のようかなお嬢ちゃん」 主人公はアルゼラにそう尋ねた。さすがに警戒しているのだろう、左手には剣の納められた鞘を持っている。 「スイマセン、捜し物をしているのです」 「へぇ、何をだ?」 「それわぁ…」 甘い声でアルゼラは答える。そしてアルゼラは、視界の端に確かに捉えた。布団にくるまり、すやすやと眠る『探し物』を。 「桃色の髪のぉ、お・ん・な・の・こ」
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