36/45
前へ
/75ページ
次へ
「くそ!」 力の入らぬ足を乱暴に叩き、主人公は無理矢理立ち上がる。一ミリ体を動かす度に、悲鳴を上げたくなるほどの激痛が走る。しかしそれでも主人公は、不躾な訪問者から少女を守るため、剣を鞘から引き抜いて、その切っ先を眼前の敵に向けた。 この勇気が、力が、主人公の主人公たる所以なのか。だが、圧倒的に不利な状況は変わらない。 「死に損ないは無視なのです!サイサ、そこの女を運びなさい!」 「ヴィ」 サイサはその巨体から想像できないほどの素早さで少女の元へ走ると、乱暴に担ぎ上げる。 その振動でようやく、桃色の髪の少女、オウカが夢から目を覚めた。 「ふぁ…え?」 オウカが状況を把握するよりも早く、サイサが彼女を担いだまま二階へと駆け登る。そこには先程二階へ配置された、トウカゲとその他が待ちかまえていた。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加