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「サイサ、てめえはこっから屋根伝いに町の外まで行け。外に監獄塔の仲間が待ってるから、そいつらと合流して東のメバンニって町まで行け。俺と鎖姫も後を追う」 「ヴィ」 伝令を手早く済ませたトウカゲは、屋内に煙幕玉を投げつける。これは事前に決めておいた合図だ。これを見届けたアルゼラは、直ぐに撤退を開始する。 「さあてめえら、俺らは殿だ。気ィはりやがれ!」 サイサに続いて撤退を開始したトウカゲ達は、同時に追っ手にも気を配る。あの家には先程の剣士しかいなかった。なら、追っ手は来ないのではないか。 そんな彼らの考えを一蹴するかのように、月の光を浴びた銀の剣が、いまだ立ちこめる煙幕を切り裂いた。
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