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「そおこなくちゃな!」 煙を潜り抜けて追いかけてくる剣士は、まるで先程受けた傷が嘘のような素早さで屋根の上を疾走する。 その男の行く手に三人の雇われ雑務達が立ちはだかる。 「どけぇ!」 主人公は声を張り上げながら切りかかるが、手負いの状態で、しかも一対多はさすがに無理があるのか、劣勢を強いられる。そこに、 「僕も混ぜてくれたまえよ!」 一筋の閃光が風を切り裂いて、暗視ゴーグルを掛けた男の肩を射抜く。男は驚きの余り足を踏み外し、悲鳴を上げながら暗い路地に落ちていった。 「クレイナ、まったく君という奴は。僕を差し置いて楽しそうなことをするとはいい度胸だね」 主人公は自身の名を呼ぶその影に目を向け、そして小さく笑い声を漏らす。 「うるせえなグンジ、女の子がこんな夜中に外出歩くな」
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