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「ううわっ」
元々戦闘のせの字も経験していない彼には、せいぜい攻撃をよけるのが精一杯だった。せめて邪魔にならぬようにと、なるべく渦中で戦うトウカゲから距離をとる。
「そおらぁ!」
隻腕のトウカゲは、自前の曲刀を曲芸の如く自在に操っていた。体をまとわりつく蛇のように、滑らかに曲刀が踊る。
万全でないとはいえ主人公を圧倒するその太刀裁きは、見事としか言いようがない。
「僕を忘れてもらっては困るな」
主人公と対峙していたトウカゲの鼻先を弓矢が掠めた。気付けば彼以外の雑務は皆姿を消していて、有利だった頭数は対等になっている。
「ちい、なかなかやる…っ?」
不意に、トウカゲの世界が揺らいだ。ぐらりと自身の体が傾く。
「なん…だあ?」
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