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釣りをしていた港を出ると、彼は大通りを目指して歩き出す。大通りでは今、マージリハ恒例の定期バザーをやっている。人の集まる場所だから、主人公を巻き込む、いわゆるイベントが起こるのには適した場所だろう。彼の読みは間違っていなかったらしく、進行方向にある大通りの一角で、『野次馬』のモブ達が人の輪を作っている。 「何故魔の者をかばう!?」 モブ共を掻き分け輪の中に加わった彼を最初に迎えたのは、耳をつんざく怒号だった。輪の中心にはいかにも怪しげな黒い鎧を着た男、恐らくこいつが怒号の主か。そしてその傍らには取り巻きであろう騎士が二人、身の丈よりやや短いほどの剣を携えている。そして、 「別に人も魔者も関係ねぇさ。ただ、女一人に三人がかりってのが気に入らないだけだ」 そのいかにもな奴らに対峙するように、後ろで震える傷ついた少女を守るように、片手に持った剣を凜とかまえる青年が。不敵に、笑った。
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