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主人公は視界にその光景を捉えると、半ば強引に少女の手を掴む。少女は一瞬びくりと体を振るわせると、今度は困惑したような表情を見せた。けれど主人公はそんなことに構いもせずに。
「あんた魔の者って言われてたな?あいつら対魔騎士に捕まったら、問答無用で殺されるぞ!」
そう言って、少女を立ち上がらせる。
「ともかくここじゃ危ねぇ、いったん逃げよう!」
そしてようやく、ここまでの流れを傍観していた彼が動く。主人公になるにはどうすればいいのか、彼はずっと考えていた。未だ明確な答えには行き着いていないけれど、確実なことは一つだけある。
何よりもまず、関わらなければならない。
完全に蚊帳の外である立ち位置から、物語の本流に無理矢理にでも己をねじ込む。どんな小さな引っかかりでも、まずは関わらなければ。でなければ、この物語からは永遠に置いてけぼりを食らうしかない。永遠に、モブに甘んじなければならなくなる。
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