ふたりのリマーレ

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   それを私が目撃した瞬間に、リマーレは水しぶきを上げて湖に落ちた。 「リマーレ!」  私が叫んだ声も大きな波紋を広げる暗い湖面に吸い込まれていくだけだった。  唖然とするしかなかった。いったい何が起こったのだろう。魔女に見つかってしまったのか。それとも、双子の妹に連れて行かれてしまったのか。  途方に暮れた私にできることは、湖面を覗き込むことだけだった。 「リマーレ……。」  呟きが零れ落ちると同時に、湖が金色に輝く。  再び湖面を見ると、そこには人影が映っていた。  それは私が望んでいた月色のドレスではなく、湖面よりも暗い闇が人を象ったものだった。 「えっ。」  私が声を漏らしたと同時に、水柱が上がる。気づけば、闇が目の前に立っていった。  深く被ったフードの下から、カエルの顔が覗いている。 「貴方……魔女……?」  私が問うと、魔女はぞっとするような嗄れ声で答えた。 「あぁ、そうさ。  あたしに会いたかったんだろう?」  私は力いっぱい頭を横に降る。 「違う! 私が会いたかったのは……!」 「怖がることはないよぉ。」  魔女は殻を掴んで、私を舟から引き剥がした。 「あたしはお前。  お前はあたし。」  私は全身を雑巾のように絞り上げ、殻の中に逃げ込んだ。 「違う……。」  殻の中で小さく呟くと、ふいに、魔女が言った。 「星はいつから降っている?」  魔女の声に混じって、星の音も聞こえてくる。小降りになっていた星が、また激しく降り出したようだ。 「……梅雨に入ってから……。」  私が小さく答えると、魔女は汚泥のような声を大音量で吐き散らして笑った。 「梅雨になったら星が降るのかい?」  魔女のその言葉にハッとする。 「追ってきてほしかったんだろう?  よかったねぇ。」  そう、魔女の言う通り。 ――あぁそうだ。  私は"あの人"の妹だった。  私達はそっくりで、よくお互いの服を交換して、入れ替わったりしていたものだ。  でも、両親が離婚し、"あの人"は母とともに行ってしまい、私は父のもとに残った。  私は父のカエルのように冷たい表情が嫌いだった。  父が私の頸筋や鎖骨や胸をねっとりとした指で撫で回し、体中に痕をつけるのも嫌だった。  だから私は手紙に作り話を書いてあの湖に……―― 「思い出したかあああい?」  魔女はそう言うと殻の入り口へ鋭く尖った爪を突  
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