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1限目は授業が入っていなかった為、ゆっくりと考えを整理する時間はあった。
しかし、考えれば考える程深みに嵌って行き答えが出ない。
結局何も答えの出ないまま、2限目――自分のクラスの授業へと重い足取りで向かった。
「席に着いてー。この間の小テストを返します」
“えーっ”と生徒達から不満の声が上がる。
さくらはそんな生徒達を気にする事なく、答案を返し始める。
自分の答案を受け取ってはうわぁ…と顔を歪める生徒達に苦笑しながらも、配布の手を止めない。
「……!」
“遠野 空”と書かれた答案が目に入り、手が止まった。
採点の筆跡は間違いなく自分のもの。
しかしさくらは彼のテストの採点をした記憶などなかった。
平均点数65点の小テストで、彼の点数は97点。
こんな飛び抜けた点数をとった子の事を忘れる訳がない。
「え、と…。遠野くん」
「……はい」
不自然に途切れたが、さくらはなんとか持ち直して配布を再開した。
空の訝しげな視線に気付かないまま。
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