*少年の告白*

3/12
700人が本棚に入れています
本棚に追加
/214ページ
「今回の小テストで出た所は中間テストでも出るかもしれないから、しっかりと復習しておいてね」 「具体的にはどんな問題が出ますかー?」 「教える訳ないでしょう。はい、今日はここまで」 生徒の軽口に笑いながら答えると、さくらは授業を終わらせ教室を出て行った。 胸中は未だに穏やかではない。 今回の小テストで彼の答案があった。 自分は絶対に採点していない。 でも筆跡は間違いなく私。 (どうなってるの…!?) 遠野 空 今まで、昨日までいなかった男の子。 彼は誰? 何者?何故私だけ彼を知らないの? 思考は止まる事なくさくらの脳内を巡り、何とも言えぬ恐怖が心を支配する。 (…なんか怖いよ、優也…) 不安から思わず恋人の名を呼ぶさくら。 他校で同じ高校教師として働く9歳年上の恋人・長谷川優也(はせがわ ゆうや)。 彼に相談してみようかと携帯を開こうとしたさくらだったが、馬鹿馬鹿しくて信じてくれないだろうと、ため息を吐いて携帯をしまった。  
/214ページ

最初のコメントを投稿しよう!