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ぽつり ぽつり と、雨が
地面を濡らし始めた。
ナグマは、激しくなり始めた
雨の中で黒い空を見つめていた。
其処に、長い栗色の髪を纏めた、黒い瞳の初老の女性が近づいて来た。
着ているのは黒い喪服。
「母上……」
ナグマの瞳が揺れる。
「……あの人を殺して……
何故、生きているの……?」
女性はナグマへの憎しみで
包まれている。
それは今だけではない。
ナグマが、幼い頃からずっと
憎しみしか抱いていない。
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