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「あなた、この子を知ってるの?」
「いや、知らないよ。ただ、我が主はその子を知っている。なぁ、新しい守護者ちゃん」
「守護者……?」
意味が解らないと言葉を繰り返すセシリアに、男は押し殺したような笑い声を漏らす。
「クックックッ……ああ、君は知らないのか。その子から何も聞いていないのだろう?」
「……シオンは記憶喪失なのよ」
「記憶喪失……?ああ、そういう設定かッ!!」
一人、高笑いする男を尻目にセシリアはシオンへ視線やる。真っ直ぐな、それでいてどこか不安げな彼女の瞳はシオンの答えを求めているようだった。
「―――俺、セシリアさんに嘘をついてました。ごめんなさい」
そんな真っ直ぐな彼女にこれ以上嘘をつく事など出来ず、そう告げた。
(軽蔑されるだろうな……)
しかしセシリアの反応は、シオンの予想とは正反対のモノだった。
「そっか……。誰にでも話したくないこともあるもんね。それなのに私は……。謝るのは気付いて上げられなかった私の方だね。ごめん、シオン」
(違う、謝るのは俺の方なのに……ッ!!)
思いを言葉にすることは叶わなかった。大人しくしていた男が急に殺気を漂わせ始めたからだ。
「素晴らしい!!セシリア・エヴァンス、あなたは偽善者の鏡だ」
皮肉った口調に乗せられたのは、明確な嫌悪感。先程のセシリアの言動が余程気に入らなかったのか、男は敵意を剥き出しにする。

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