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急いで窓へ駆け寄ればジュリアは道路に横たわり車にいつ轢かれてもおかしくない状況。傍でニタニタ笑う正吾なんて気にしている暇などなかった。
「ジュリア!」
階段を駆け下りて柳は家を飛び出した。スリッパのままだが気にしてられない、早くジュリアを。
道路の真ん中に横たわるジュリアに駆け寄って抱き締めた。力強く、先程まであった胸が締め付けられるような感覚は消え去りほっと胸を撫で下ろす。
「ジュリア、ごめんね?でももう大丈夫、」
さあ帰ろう、立ち上がった瞬間にトラックが此方へ向かっている。運転手は真っ青な顔をし、慌ててハンドルを回している姿がここからでもわかった。
タイヤが擦れる音は雑音のように、窓から見ていた正吾の小さな悲鳴は蚊の泣く声のように消え去って。
「ジュリアが、汚れちゃ…う」
痛みはないがもしトラックに跳ねられたとしたらジュリアが自分の血で汚れてしまうんじゃないかと思ったが心配を他所に重たい瞼は重力に従ってゆっくりと閉じていった。
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