自己(月)

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 《役割》   最近はつくづく自分のこの家での役割を再認識させられる 結局、いいように使われている自分を…   私が自分の役割をハッキリ認識させられたのは、小学校にあがる前だったように思う 本当は、物事がだいぶ解るようになってきた4歳位から気付いていたけど、その事実を避け続けていた 幼かったからこそ、受け止められずにいたのかもしれない   私はこの家が殺伐としない為に、この身を犠牲にしなければならない存在らしい 『かすがい』とか『潤滑油』とか、そんな聞こえのいいものではない 普段は八つ当たりされる存在でしかないから そして、両親の機嫌や世間体でのみ、身勝手な愛情が注がれてきた   私はいつしか、心を閉ざす術を自然と身に付けていた 傷付かないよう、自衛する為に… 子供の頃、散々思い知らされたから “愛しても報われない時ほど、虚しく寂しい事はない”と…   だから私は、自分から惚れる事が滅多にないのだろう どんなに親しくなっても、どんなに愛されても、全てを委ねる事が出来なかった… 本当に心を許せるのも、突き詰めていけば自分から惚れた男だけ   人間不信の気はあるけど、決して疑い深いというわけではない 多分怖いだけ またあの虚しさや寂しさを味わうのが… もう二度と、あの裏切られたような気分になりたくないだけ   都合の良い愛情なんかいらない! がむしゃらでも格好悪くてもいいから、温かい本当の愛情だけでいい 上辺だけの愛情なんて、却って冷たく感じるだけだから   それは、私が幼少期に既に悟った事… もう20年以上も前に突き付けられた真実…
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