自己(月)

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 《願望》   昔の日記が出て来たから読み返してみた 成長してない私… 昔からずっと一緒… 幼い頃から変わらぬ、『守られたい』『愛されたい』という想い   昔から私は愛情に飢えていて、いつも体の真ん中に風穴を感じてた それを埋めてくれる人を探すのに疲れ、いつしか仮面を被るようになった 強くて明るい女… 独りでも大丈夫な女…   仮面は自分で思ってたよりキツくて重かった 表情を内側から固め、その重みは首を擦り抜けキシキシ心臓を傷めた そして私は心から笑わなくなった… 滅多に自分から人を愛さなくなった…   出来上がったのは氷の女 強く冷たく気位の高い、とっつきにくい女 私はますます孤独になった 心の奥底の願望は、表に出る事なく内側で私を蝕み続けた   それでも想いは変わらなかった 自ら遠ざけてるのにも気付かず、体の内の内は悲鳴を上げ続けていた 淋しい… 愛して…   女には二通りいるらしい 『共に闘っていく女』と『守られたい女』 仮面を被った私は前者 素顔の私は後者 だから私はいつも矛盾に満ちている   本当は私も仮面を脱ぎ去ってしまいたい 何の迷いもなく誰かの胸に飛び込めたら… 安らぎを求め過ぎるが故に、いつの間にか被っていたこの仮面…     「守ってあげたい」と言われて嬉しかった でも私の中には惑いがある 私はすごく重い女で、今までの孤独の分もその人に押し付けちゃうかもしれない… 多分愛情の深さも並大抵じゃない…   それでも同じ言葉と愛を私にくれますか?
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